今の時期になるとこの土地では必ず雷が鳴る。
その後にはバラバラと霰が降り、やがてそれが雪になってゆく。
そうして季節が移り変わるのを、もう30年以上体験している。
時が立つのも早いもの、YOKOが死んでもう15年近く経っている。
自分の歳も同じように時間を積み重ね、そして老いて行く。
自分の未来は?と、問いかける時期はもう過ぎた。
創造する事は余りなく、経験の積み重ねの中で判断するようになった。
老いるという事は、人生の肯定だと気が付く。
どんな人生を歩んできても、その全ては結果として今がある。
その事実を変える事ができない事も、もう理解している。
と言って、今が間違えているとかと言う事ではない。
あらゆる時間の中で、いつも最善の決断をしてきた結果ゆえ、これでいい。
そう思う事が、自分の人生を肯定できる事と繋がる。
何も間違えてはいなかった、これこそが今の自分の信念の基盤だろう。
IFの世界は何処にもなく、あるのは今の現実だけ。これに尽きる。
老いた身体をまとい、日々の生活を送る。ただそれだけかもしれない。
でもそれが出来る時間も、永遠には続かない。
何が本当で何が嘘かは誰にも判らない時代、けどそれも時の流れ。
その中で日々自分が生きている。いつ終わるのだろう?
初めがあるから終わりがある。自分もいつか終わるだろう。
でもそれすら恐怖でもなく、自然の成り行きで終わるだろう。
恐怖を克服すれば、心穏やかに終末を迎えられる。
後はこれを体験するだけになったのだろうか?それでもいい、そうだから。
雷、雪、寒さ、そしてやがて来る春の暖かい日々・・・